相続した不動産売却時の税金申告方法は?手続きや注意点もまとめて紹介

不動産を相続し、いざ売却しようと考えた際、「どのような税金がかかるのか」「手続きや申告は何から始めればよいのか」と不安や疑問を感じている方は多いのではないでしょうか。本記事では、相続した不動産を売却する際に誤りやすい税金と申告の流れについて、基礎から分かりやすく解説します。複雑になりやすいポイントや最新の法改正も押さえながら、迷わず手続きを進めるための手順と注意点をまとめています。不動産の相続や売却で悩みがある方は、ぜひ参考にしてください。

相続した不動産売却に必要な手続きの流れ

まずは、相続が開始したら、遺言書があるかどうかを確認してください。遺言書がある場合はその指示に従って進めます。ない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行い、誰がどの財産を取得するかを決める必要があります。これは法的にも必要なプロセスですので、省略できません。

次に、相続登記、すなわち名義変更を行います。たとえ売却の予定がすぐにあっても、相続人の名義でないと売却できません。登記は義務化されており、できるだけ1年以内を目安に手続きを進めることが望ましいです。

その後、相続税の申告と納付を行います。申告期限は相続開始から10ヶ月以内です。申告・納付後、不動産を売却する段取りに移ります。売却の準備としては、査定や契約の準備などを進めながら、将来の確定申告に備えて必要な書類を整えておくことが大切です。

以下は手続き全体の流れを分かりやすく整理した表です。

ステップ内容ポイント
1遺言書の確認・遺産分割協議法的な手続きを確実に進める
2相続登記(名義変更)売却の前提となる必須手続
3相続税の申告・納付相続開始から10ヶ月以内に行う

相続した不動産を売却する際にかかる主な税金と費用

相続した不動産を売却する際には、次の3種類の税金や費用が主にかかります。それぞれの内容や計算方法、注意点をわかりやすく整理しました。

項目 内容 要点
印紙税 売買契約書に貼る収入印紙の税金 契約金額に応じて税額が変動。たとえば1,000万円超5,000万円以下は1万円(軽減後)です
譲渡所得税(所得税・住民税・復興特別所得税) 売却益にかかる税金 「譲渡所得=売却収入-(取得費+譲渡費用)-特別控除」で算出し、所有期間に応じて税率が異なります(短期は約39.63%、長期は約20.315%)です
登録免許税 相続登記(名義変更)に必要な税金 固定資産税評価額に0.4%をかけて算出。土地評価額が一定以下などの場合、免税措置の対象になることもあります

これらに加えて、媒介手数料や司法書士報酬などには消費税がかかる可能性がありますが、売却代金や譲渡所得にはそもそも消費税はかかりません

各費用や税金は、相続した不動産の売却をスムーズに進める上で避けて通れない内容です。ご不明点があれば、お気軽にご相談ください。

譲渡所得税の節税につながる特例制度と適用条件

相続した不動産を売却する際に利用できる節税制度として代表的なのは、(1)「自己居住用財産としての三千万円の特別控除」、(2)「相続した空き家に対する三千万円の特別控除」、そして(3)「取得費加算の特例」です。

まず、売主が相続した不動産を売却する前に居住していた場合は、譲渡所得から最高三千万円が控除される自己居住用の特例が利用できます。ただし、相続後に一度も住んでおらず空き家になっている場合は対象外です。 

次に、被相続人が一人で居住していた住宅およびその敷地を相続により取得し、売却する際には、一定の要件を満たせば「相続空き家の三千万円特別控除」が適用されます。要件には、建物が昭和五十六年五月三十一日以前の旧耐震基準のもの、相続開始から三年を経過する年の十二月三十一日までの売却、譲渡価格が一億円以下、土地と建物の両方を相続、空き家の状態が継続していること、第三者への売却であることなどが含まれます 。

さらに、相続により取得した不動産について相続税を支払っている場合、「取得費加算の特例」を使って取得費に相続税の一部を加算できます。この特例は、相続開始の翌日から相続税の申告期限の翌日以降3年以内に売却されることが条件です 。

なお、空き家特例と取得費加算の特例は併用できません。どちらを利用したほうが節税になるか、控除額や加算額を比較して選ぶ必要があります 。


以下に、各特例の主な要件をまとめます。

特例名主な適用要件節税ポイント
自己居住用の三千万円控除 売主が相続後に居住し、居住用財産であること 譲渡所得から最大三千万円控除
相続空き家の三千万円控除 昭和56年以前築、空き家状態継続、相続から3年以内売却、価格制限など 譲渡所得から最大三千万円控除
取得費加算の特例 相続税納付済、3年以内に売却 取得費に相続税を加算し節税

確定申告が必要なケースと申告のポイント

相続した不動産を売却して譲渡所得、すなわち売却益が出た場合には、確定申告が必要です。譲渡所得は「売却価額」から「取得費」「譲渡費用」を差し引いて計算します。譲渡所得がプラスであれば、売却した翌年の2月16日から3月15日までの間に申告が必要です。

一方、譲渡損、つまり売却損が出た場合、原則として確定申告は不要です。ただし、給与所得や事業所得など他の所得と損益通算を希望する場合や、繰越控除の利用を希望する場合などには、確定申告が必要となります。

さらに、譲渡所得が非課税となる特例を利用する場合(たとえば「空き家に係る3,000万円の特別控除」など)にも、確定申告が必要です。特例を活用して譲渡所得がゼロまたはマイナスとなる計算結果であっても、申告しなければ制度が適用されませんのでご注意ください。

加えて、無申告や申告の遅延により「無申告加算税」や「延滞税」、「重加算税」が課されるリスクがあります。特に税務署は不動産の移転情報を把握しやすいため、売却した場合は申告義務の有無を早めに確認することが重要です。

以下に、確定申告の必要性を整理した表をご用意しました。

譲渡結果 確定申告の要否 ポイント
譲渡所得(利益)あり 必要 計算式に基づき申告(期限:翌年2月16日〜3月15日)
譲渡損(損失)あり 原則不要 損益通算や繰越控除を利用する場合は必要
特例利用による所得0またはマイナス 必要 特例の申告によって初めて適用

まとめ

相続した不動産を売却する際には、遺言書の有無や遺産分割協議、相続登記の手続き、各種税金の支払いといった重要な流れが存在します。売却時に発生する税金は譲渡所得税や住民税などがあり、特例制度を利用することで税負担の軽減も可能です。確定申告が必要になるケースや申告を怠るリスクについても正しく理解しておくことが大切です。丁寧に一つずつ手続きや申告を進めることが、安心して不動産売却を行うための第一歩となります。

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